2025年10月20日 作成
2025.10.20 tạo nên
2025.10.20 create
ONE-VALUEのフィ・ホアCEO:日本での起業の歩みと、在日ベトナム人女性の胆力

ベトナム女性の日(10月20日)に合わせ、ONE-VALUEはONE-VALUE INC.の最高経営責任者(CEO)であるフィ・ホア氏に話を聞いた。同氏は、ベトナムと日本の戦略・投資・M&A領域で市場を牽引する同社を率いてきた。
その歩みは、日本で活躍するベトナム人女性の胆力を示すだけでなく、知の力、揺るぎない意志、そして日越経済の架け橋としての使命を体現している。
日本でM&A分野に挑んだ起業のきっかけ
Q. 本日はベトナム女性の日にあたり、ONE-VALUE一同よりご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。まず、日本で―しかも一般に「男性の舞台」と見られがちなM&Aで起業を決めた理由をお聞かせください。
フィ・ホア氏:
OVのメンバーの皆さんに感謝いたします。 最初のきっかけは20年以上前の日本留学時代にさかのぼります。当時、日本に住むベトナム人は少なく、ベトナムの実像は十分に知られていませんでした。ある学生に「ベトナムはもう戦争は終わったの? 自動車はあるの?」と尋ねられ、驚きと同時に強い思いを抱きました。「いつか日本とベトナムをつなぐ仕事がしたい」―その種が心に芽生えたのです。
投資コンサルティング、とりわけM&Aに携わる中で、これは経済だけでなく文化の懸け橋となる仕事だと確信しました。日越のM&Aは一種の「結婚」に近い。相互理解・信頼・敬意が成否を分けます。
第二のきっかけは偶然の会食でした。起業前、野村証券ホールディングスの元会長と夕食をご一緒した際、「真剣に仕事をする女性を見たことがない」と、半ば冗談めかして言われたのです。私はその偏見を覆したいと思いました。女性でも高度な合理性とプレッシャー耐性が求められる分野で十分に成果を出せると証明したかった。
第三の動機はより本質的です。社会的意義のある仕事を生みたい。ベトナム企業の成長を後押しし、日本企業がベトナムを深く理解し関与を強める―M&Aコンサルティングはその使命を果たせる手段だと考えました。
「決して諦めない」―そして自分に厳しく
Q. 日越双方での成果は目を引きます。何か秘訣はありますか。
フィ・ホア氏:
特別な秘訣はありません。私が守るのは二つ、「決して諦めない」ことと「自分に厳しくある」ことです。
起業期はちょうど出産と重なりました。若い母親として、日本の経営者と交渉の場に臨むのは容易ではありません。当初は信用されないこともありましたが、能力・データ・一貫した姿勢で応え、信頼を積み上げました。
また、日々の運用でも自己規律を徹底します。顧客メールには一定時間内に必ず返信する、問題があればまず自分を省みる。一方で、リーダーは自分に厳しく、他者には寛容であるべきだとも学びました。
そして学び続けること。ONE-VALUEには「Learning & Sharing(学びと共有)」の文化があります。M&Aは多様な産業にまたがり、一人で全てを知ることはできない。だからこそ学び、知見をチームで共有します。結果として、個と組織が同時に強くなるのです。


国境をまたぐ交渉の「罠」をどう越えるか
Q. 越境M&Aには特有の「罠」もあります。どのように乗り越えてきましたか。
フィ・ホア氏:
異なる国の企業同士のM&Aは、いわば「お見合い結婚」です。文化・言語・仕事の流儀が違う中で合意に至るには時間がかかります。重要なのは双方の本音を深く理解すること。ベトナム企業は高い価格を望みがちで、日本企業は妥当性と透明性を重視します。コンサルタントはその均衡点を設計しなければならない。
交渉の「罠」を越える鍵は、データ・論理・信頼です。示す数字や評価には明確な根拠を伴わせ、双方が「腹落ち」できる形にする。多くの案件で、双方からの信頼を維持できるかが勝敗を決めます。
M&Aで問われるのは性別ではなく、思考と実力
Q. 社内では女性リーダーも目立ちます。M&A分野における女性の強みと課題をどう見ますか。
フィ・ホア氏:
女性のしなやかさや繊細さは対人関係で力を発揮します。ただ、M&Aは戦略・データ・持久力がものを言う世界。問われるのは性別ではなく思考力と実行力です。
課題を挙げるなら体力面でしょう。日英間の案件では時差対応で深夜まで会議が続きました。それでも「女性だから弱い」とは考えません。乗り越えるべき挑戦として向き合ってきました。
唯一迷うのは、子どもと過ごす時間が限られること。だからこそ短くても質の高い時間にする。母親とリーダーの両立は、その積み重ねだと考えています。
日越M&Aを導く原動力

Q. 日越M&Aの「道先案内人」として歩む原動力は何でしょう。
フィ・ホア氏:
二つの経済をつなぐ架け橋でいられることです。日本からの投資でベトナム企業が成長し、工場を新設し、雇用が生まれる―その光景に、大きな喜びを感じます。努力が可視化される仕事であり、成功した案件・築かれた関係・共に成長する人を実感できることが、この仕事を愛する理由です。
Q. 日越M&Aの道先案内人」として歩む原動力は何でしょう。
フィ・ホア氏:
自己への信頼と学び続ける姿勢が鍵です。海外に出るなら「彼我を知る」こと―相手の文化を理解し、誠実さとプロフェッショナリズムで臨むべきです。日本企業は交渉で「ふっかけ」ない。信用と安心感を重んじます。ベトナム側が「市場の値切り」の感覚で臨めば、相手はすぐ退きます。敬意・理解・信用の維持こそビジネスの要諦です。
最後に、私は常にこう考えています。自分のためでなく、顧客・仲間・チームのために働く―そのとき成功は自ずとついてくる。
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