2021年10月07日 作成
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バイオマス燃料資源大国としてのベトナム~意外に知られていないベトナムのバイオマス燃料資源~
ベトナム政府は新たな固定価格買取制度(FIT制度)を導入
ベトナム政府が2016年に首相決定した「改定第7次国家電力マスタープラン(改定PDP7)」では、2030年にかけて再エネ開発を積極的に進める方針が掲げられており、2030年までに再エネ電源の割合を2018年比で13.8%増となる21.0%まで構成比を高める計画が立てられている。
ベトナム政府は再エネ分野への投資を促すため、様々な優遇措置を導入。法人税、輸入税、土地取得にかかる減税、免税のほか、電力会社に対して発電事業者から電力の全量買い取りを義務付ける固定価格買取制度(FIT制度)を導入している。近年になり、風力発電、バイオマス発電、太陽光発電のFIT価格が改定され、国内外の投資家からの注目が集まっている。
風力発電は2018年の首相決定(No.39/2018/QD-TTg)により、旧FIT価格から大幅に引き上げられた。新FIT価格では、洋上風力が9.8セント/kWh、陸上風力が8.5セント/kWhとなっている。
バイオマス発電では、コージェネレーションの場合、旧FIT価格は5.8セント/kWh、コージェネレーション以外の場合の旧FIT価格は7.4~7.6セント/kWhと地域によって異なる価格が設定されていた。しかし、2020年3月の首相決定(No.8/2020/QD-TTg)により、コージェネレーションの場合は7.03セント/kWh、コージェネレーション以外の場合は8.47セント/kWhが4月25日から新FIT価格として適用されることになった。この新FIT価格は3月5日以前にすでに稼働しているバイオマス発電所にも適用される。
バイオマス資源大国としてのベトナム
こうして見ると、今年3月にFIT価格が大幅に引き上げられたバイオマス発電は投資の機会が従来と比べて大幅に拡大するだろう。
ベトナム商工省の統計によれば、2015年時点でベトナム国内に使用可能な年間のバイオマス燃料量は発電量換算で約32TWh存在するとされており、使用可能なバイオマス燃料量は2035年にかけて増加し続ける見通しだ。商工省によれば、2025年に38TWh、2035年には41TWhの使用可能なバイオマス燃料量が年間で発生するとされている。
ベトナムにおける主要なバイオマス燃料の種類については前回の記事でも述べたが、2015年時点の内訳を見てみると、林業系バイオマス燃料が全体の65.2%(20.8TWh)を占めている。特に木質チップ・木質燃料の活用の可能性は非常に高い。一方で、農業系バイオマス燃料は全体の34.8%(11.1TWh)を占めている。もみ殻は特に稲作が盛んなメコンデルタ地域を中心に発生しており、もみ殻も有望なバイオマス燃料の1つとして考えられる。
新FIT価格による大幅なFIT価格の引き上げ、豊富かつ多様なバイオマス燃料という好条件により、バイオマス発電はベトナムの再生可能エネルギーの中で2020年に最も注目される分野になるに違いない。
バイオマス燃料およびバイオマス発電についての更なる詳細については、弊社までお気軽にご連絡ください。
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