新型コロナウイルス(Covid-19)がベトナムへのFDIに与えた影響:投資額のビフォーアフター

Covid-19がベトナムに与えた影響

2020年の始まりとともに徐々に感染を拡大していた新型コロナウイルス(Covid-19)はグローバル規模での経済の減速をもたらし、年平均7%の経済成長率を記録していたベトナム経済にも影響を与えた。特に海外からの直接投資(FDI)は投資企業の財務的な課題の発生、認可の遅れ等の様々な理由により前年比べて減少した。しかし一方でベトナム政府が取った新型コロナウイルスの対策はウイルスの感染拡大を防ぐことに成功し、ベトナム経済は7月現在すでに回復に向かっている。また制限されていた日本からのベトナムへの渡航も順次再開され始めている。近隣諸国がまだウイルスの感染が続いている中でベトナムがいち早くコロナの影響から脱することができた事実は、中国からの生産拠点の移転やベトナムのFTAへの加盟等の要素に加えて、さらにベトナム経済の発展を加速させる要因となるだろう。

今回は各種統計資料から新型コロナウイルスがベトナム経済、FDIに与えた影響をまとめていく。この結果を基にこれからのベトナム経済、対内投資の方針の行方を占うことができるだろう。

コロナにも関わらずベトナムのFDI総額は微減に止まる

ベトナムへのFDI投資総額は2012年からコロナ以前の2019年まで年々5%以上の増加を続け、従来の外資大企業による大型案件の投資に加え、中小企業による投資案件も増加していた。2020年1~4月期は新型コロナウイルスによる影響を受けて前年比と比べて減少する結果となったが、その減少率は9.6%と微減に収まっており、コロナが収束した2020年第3四半期からはこれまで中断、延期されていた案件が再開され投資額もこれまで通り増加していくと考えられる。特にコロナがまだ収束していない中国からの生産拠点のベトナムへの移転が進んでおり、またベトナム統計総局が6月26日に発表した製造業および建設業の2020年第2四半期および第3四半期の生産経営動向に関する報告書によると、第3四半期には生産・新規受注の改善が見込まれていることが明らかになっている。

国別のベトナムへの投資額は韓国がトップ、シンガポールが急増

2019年時点での実行済FDI総額のトップは韓国であり、累積件数でもトップである(累積件数、総投資額では日本は2位)。特にサムスン・ベトナムの投資額が韓国からのFDIの3割を占めると言われており、家電やスマートフォンの生産拠点を拡大させている。またシンガポールはバクリュウ省でのシンガポールの液化天然ガス(LNG)工場案件:投資額40億USD(約4300億円)が認可されたことにより投資額が伸びている。

ベトナムは持続可能な投資案件に注力する方針、日本からのFDIを特に歓迎

また近年では香港を含む中国からの投資額が増加しており、特に2019年には案件数、投資金額ともに一気に増えた。これには米中貿易摩擦を背景とした生産移管が含まれており、ベトナム側では投資の持続性について疑問視する声も上がっている。またベトナム国営テレビではベトナム側が中国からの低水準の技術がベトナム含む途上国に移管されることに、環境への影響などの観点から懸念を示していると伝えられた。ベトナム共産党中央委員会は2019年8月20日に政令50-NQ/TW「2030年までに、外国投資(FDI)協力について制度・政策を完成させ、質と効率を高めるための方向性を示す中央委員会による決定」を公表し、ハイテク投資企業による投資案件がベトナムの経済に大きく貢献している一方で、いくつかの案件はベトナムの資源・労働力を浪費していると指摘し、低水準や古い技術を用い、環境への悪影響を及ぼす可能性のある案件は今後認可をしない方針を明らかにした。

そのような状況下で、ベトナム側の関係者は日本企業がこれまで技術移転、環境保護さらには雇用創出の面でベトナム経済に貢献してきた点を評価しており、今後さらに日本企業による投資を誘致していきたい考えを示している。

分野別の投資額は製造業が圧倒的にトップ、電力・ガスの投資額が急増

2019年は製造業への投資額が突出しており、そのほとんどの投資額は工業団地への投資である。2020年1~4月期はほとんどの業界で投資額の減少が見られるが、電力・ガスの分野では前述のシンガポールの液化天然ガス(LNG)工場案件が認可されたことにより投資額が増えている。

また環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)の発効を背景に小売・卸売への投資が好調である。近年のベトナムの消費者市場の特徴としてはEコマース(電子商取引)の市場が急速に拡大していることで、小売・卸売の市場がいままさに転換期を迎えようとしている。この流れは小売・卸売市場だけでなくフィンテック等の金融業界にも大きなチャンスをもたらすことになる。すでにイギリス・韓国などのフィンテック企業がベトナムへの進出準備を進めており、ベトナムのフィンテック分野への海外投資家からの期待が高まっている。

コロナ後のベトナムFDI・経済の見通しは好調

世界規模ではまだまだグローバル経済はコロナの影響から抜け出せていないが、すでに感染者がほとんどゼロとなっているベトナムではすでにコロナの時期は終わったと考えて良いだろう。この状況はむしろ多くの投資家の注目がベトナムに集まる結果となり、全ての業界で前年以上にFDIが進むと予想される。一時的に延期・中断されていた各案件もベトナム経済の回復に伴って徐々に再開されつつある。すえに折り返しを迎えた2020年であるが、コロナによってむしろベトナムへの投資チャンスが高まっていると捉え、第3四半期のベトナム経済の動向を追っていく必要があるだろう。

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