ベトナムの造船業のポテンシャル(後編)~ベトナム造船業への日本企業の進出の可能性~

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※こちらは「ベトナムの造船業のポテンシャル」の後編となります。前編につきましては、こちらをご覧ください。

前回のレポートでは、ベトナムの造船業における船舶建造量が世界第5位であること、およびベトナムの造船業が運輸省の管理下にあるビナシングループ(現:SBIC)を中心として発展してきたこと、さらにベトナムの造船業が今後発展していく上で「造船・船舶修繕能力」、「裾野産業」及び「人材」の大きく3つの点で解決すべき課題があることを確認した。

今回のレポートでは、前回取り上げた課題を解決するために、日本からどのような取り組み、ビジネスが可能なのかについて見ていきたい。

1.造船業に関する投資優遇措置

ベトナムにおいて外国からの資本受け入れ(外国直接投資)についての規制・優遇政策等については2015年7月より施行された改正共通投資法(67/2014/QH13)にて規定されている。その中では一定条件を満たす投資案件については優遇措置を受けることが可能である旨が規定されており、優遇措置の対象となるプロジェクトの分野については、下記の分野が定められている。

上記表の3において、造船は投資奨励分野となっている。実際の優遇措置についてはプロジェクトごとに審査が為されるものの、ベトナム政府も造船業の育成に力を注いでいることから、各種優遇措置を受けられる可能性が非常に高い。

2.ベトナムの造船業界における優位性(人材の面から)

日本の造船業の歴史を振り返ってみると、かつては世界トップのシェアを維持していたものの、1980年代からの韓国の台頭、2000年代からの中国の台頭によりシェアが縮小した。

前回のレポートでも確認した通り、2018年時点では総トン数において、中国の建造量がトップとなっている。

これらの国々がなぜシェアを伸ばしてきたのかを振り返ると、平均賃金が低いことによる人件費の優位性があったこと、また日本からの技術者の起用等により技術力を向上させたこと、この2つが大きな要因であると思われる。

しかし両国が途上国から先進国へと発展していくにつれ、人件費における優位性は徐々に薄れていくと予想される。その結果、まだ平均賃金が低いレベルでとどまっているフィリピンやベトナム等の東南アジアの国々へと、造船ブームが移行していく可能性がある。

ベトナムは現在、多くの労働者が日本を始めとする諸外国にて働いており、我が国では技能実習生、または特定技能外国人として国内の各造船所で就労している。筆者はベトナム国籍の労働者を受け入れているいくつかの工場に訪れて取材を行った。その結果、ベトナム国籍の労働者の技能レベルは非常に高く、仕事への姿勢もとても真面目で、大きな戦力になっているという声が多くあった。

ある造船所では、JISや日本溶接協会等の技能検定を社員に参加させてみると、実技試験において得点上位層を占めるのは日本人ではなくベトナム人であるという。

彼らの一部は、日本に留まってそのまま国内の造船所で就労を続けるが、多くの人材はいずれ母国へと帰国することとなる。その際には、日本で経験を積んだ労働者が母国にて有能な工員として就労し、国全体の造船技術も向上していくことが期待される。

3.「2020年までの戦略・2030年までのビジョン」におけるベトナム政府の方針

2014年10月22日付でベトナム政府は No.1901/QD-TTgにて「2020年までの越日協力枠組みにおけるベトナム工業化戦略及び2030年のビジョンを実施する造船産業発展行動計画の承認」を発表した。そこでは、造船所システムの再編、裾野産業の育成、船舶消費および船舶修繕サービスの国内・輸出市場開発、高度・専門的・国際的人材の育成の大きく4つのテーマにて、外国企業・投資家の協力を呼びかける方針が記載されている。

いずれの項目においても、パートナー国(日本)からの資金・技術等の受け入れを誘致することが計画として定められている。

4.まとめ

本レポートでは、労働集約型であるという産業の特性を活かして中国・韓国の造船業が発展してきたという歴史を基に、今後ベトナムの造船業も同様に発展していく可能性が大きいことを確認した。また後半では、ベトナム政府が同業界の発展のために海外からの協力を大きく呼びかけている方針であることを見てきた。

造船業は海運業の発展と密接に結びついている。今後ベトナムの経済成長に伴い、海運が盛んになっていくことが予想される。そのため、ベトナム国内における造船のニーズも増加していく可能性がある。

今後もこのレポートでは、ベトナムの造船業界について注目していき、最新の情報をお伝えしていくこととしたい。

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