「脱中国」と「ベトナムへの生産拠点移転」のグローバルトレンドが拡大:中小企業にも移転の動き

 前回のONE-VALUEの記事でも、グローバル企業による中国からベトナムへの生産拠点の移転について述べたが、本記事でも引き続き、脱中国とベトナムへの生産拠点の移転について分析を続けていきたい。

日本政府も中国からのサプライチェーン移転を積極的に支援

 日本の最大輸出国である中国で新型コロナウイルスが発生したことは、日本経済に大きな影響を与える結果となった(中国は2009年以来、日本の最大輸出相手国)。特に、日本だけでなく、世界中の製造業が中国に生産拠点を構える中、新型コロナウイルスがもたらした打撃は非常に大きい。コロナウイルス感染拡大の影響により、中国から日本への輸入は今年2月に前年同比でほぼ半減し、主要先進国の中でも対中依存度が高い日本のメーカーは中国から必要な部品を調達できなくなるといった事態が発生した。

 一方で、日本政府は2020年4月、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急経済対策の一環として、総額約2400億円を2020年度補正予算案に盛り込んだ。そのうち、日本国内への回帰促進には約2200億円、残り235億円を東南アジア諸国といった第三国への生産拠点移転支援に充てる。

 第3国への移転としては、2020年7月、日本貿易振興機構(JETRO)が中国からフィリピン、タイ、ラオス、ベトナム等の東南アジア諸国に生産拠点を移すことを計画する日本企業に対して、資金援助を受ける30社のリストを公表した。そのうち、半分にあたる15社はベトナムへの生産拠点の移転であり、その多くが医療用防護服・ガウン、医療用マスク、医療用フェイスシールド、透析用血液回路といった医療関係の製造業である。残りは自動車部品、スマートフォン向け部品、パワーモジュール部品である。

 これらの企業が中国から完全に生産拠点を移管するのか部分的であるかは不明であるが、移転先の半数がベトナムに集中していることから、大企業だけでなく、中小企業にも「脱中国とベトナムへの移転」の動きが拡大していることが読み取れる。JETROによれば、日本政府は移転の支援として、1社あたり1~50憶円の補助金を支払うという。

 また、経済産業省の発表として、日本国内への回帰支援に関しては、アイリスオーヤマ、シャープ、塩野義製薬、テルモ、カネカ等の大手企業を含む57社が合計で574億円の補助金受給の対象となったと発表している。

脱中国の動きは世界的トレンドに拡大:米、英、独、台湾も

 脱中国の動きは日本企業だけに留まらない。アメリカのトランプ政権は以前より、サプライチェーンを中国から自国へ移転することに対しては積極的な方針であったが、今回の新型コロナウイルス発生を受けて、2020年5月、香港や中国本土にあるアメリカ企業が自国に回帰することを歓迎し、移転費用を援助するとホワイトハウスの経済顧問のラリー・クロドー氏が述べている。また、イギリスのジョンソン首相も5月に医薬品の供給やその他戦略的物資の調達で中国へ過度に依存することを懸念し、脱中国依存に関する計画を立てるよう政府内に指示をしたという。2019年11月時点であるが、AFP通信によれば、在中ドイツ商工会議所(AHK China)が在中ドイツ企業526社を対象に実施したアンケート調査では、104社が中国から撤退することを決定、または検討しているという。また、そのうち3分の1は中国からの完全撤退を計画しているという。新型コロナウイルスの発生により、この動きは更に加速するだろう。

 また、台湾も昨年の2019年から電力や水道インフラ、税優遇措置、土地等で台湾企業による生産拠点の本国回帰を支援している。既に多くの台湾企業が2020年の事業計画の一環として、中国からの生産移管を検討しているという。2020年4月の台湾の技術情報ポータルサイト「テックニュース(TechNews)」によれば、世界最大のEMSであるホンハイ(Hon Hai)を始め、クアンタ(Quanta)、コンパル(Compal)、ペガトロン(Pegatron)、ウィストロン(Wistron)、インベンテック(Inventec)などの台湾大手企業は、今年度の優先事項として中国以外の生産能力の拡大に多額の投資を実施する計画だ。

コロナ期でもベトナムは東アジア・太平洋地域で最も高い経済成長率2.8%

 こうした世界的な脱中国のトレンドは2020年の新型コロナウイルスの発生を受けて、ますます浸透していくだろう。その移転先として、ベトナムが挙げる企業も多い。ベトナムは2020年の成長率がプラスとも予想される数少ない国の1つでもある。世界銀行が発表した「世界経済見通し2020年6月版」で、ベトナムの今年のGDP成長率が東アジア・太平洋地域の発展途上国で最も高い2.8%になると予測している。

また、2020年前半期におけるベトナム経済の主な動向は以下の通りである。

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