ベトナム商工省:風力発電のFIT制度を2023年末までの延長を提案

今回の記事では、ベトナムの風力発電をめぐるFIT制度の動向について考察してきたい。

商工省がFIT制度の延長を提案

ベトナム商工省は、このほど、風力発電プロジェクトに関する現状や課題について取りまとめ、報告書を政府に提出し、現行のFIT制度を2023年末まで延長することを提案した。

 この提案書では、省人民委員会10省のほか、世界的な風力発電の業界団体、欧州の経済関連の業界団体の意見が盛り込まれており、現行FIT制度を定めた法規定、2018年9月10日付け、首相決定(No.39/2018/QD-TTg)で定められるFIT制度の期限を2023年まで延長することが提案されている。現行のFIT2では、適用条件として、2021年10月末までに商業運転を開始し、国家送電網に接続していることが適用条件となっている。現行のFIT2では、洋上風力は9.8USセント/kWh、陸上風力は8.5USセント/kWhとなっている。

 ベトナム商工省は延長の理由について以下のように述べている。FIT2を定めた首相決定(No.39/2018/QD-TTg)が有効となった2018年11月1日のあと、風力発電への投資申請が相次ぎ、電力マスタープランへの追加や送電線への過負荷を考慮した空き容量の確認といった作業にベトナム行政側で多くの時間を要しており、多くのプロジェクトでは当初の想定から1年以上の開発の遅れが出ているという。2019年12月までに、7,000 MWの容量に相当する多くのプロジェクトが電力マスタープランに追加されたものの、開発期間に2~3年程度を要するとみられ、多くの投資家にとって、法規定で定める期限内に風力発電所の建設を終え、商業運転を開始するための十分な時間がないのではないかと疑問視されていた

開発期間の長期化と煩雑な法手続き

一方、メコンデルタ地域における風力発電プロジェクトの殆どが洋上風力であり、タービンの輸入や建設により多くの時間を要するとみられる。ベトナムの風力発電では建設に要する時間として、陸上風力の場合は2年、洋上風力で3~3.5年程度要すると見込まれている。

これに加えて、海域の定義に関する法規定、及び海域の使用に関する許認可の取得についての法規定が非常に複雑であり、使用する海域の面積を計算する法規定が存在していない。そのため、許認可の取得に多くの時間とコストを要する現状だ。更に、新型コロナウイルスの影響により、タービンを中心とした風力発電設備の調達に影響を及ぼしており、プロジェクト開発の遅延につながっているという。こうした事態を受けて、ベトナム商工省はFIT期限を延長することが適切と判断したと考えられる。

 この期限の延長により、ベトナム電力公社(EVN)は2020年から2030年にかけて、年間生産コストを103~135万USドル削減できると試算されており、風力発電に関する設備、サービス、金融市場の発展に貢献するとともに、クリーンエネルギーの開発、環境保護への取り組みに繋がると発表している。

商業運転の開始時期によって異なるFIT価格が設定される可能性

具体的な延長期間とFIT価格であるが、2021年11月から2022年12月の間に商業運転を開始する場合の適用FIT価格は、陸上風力については7.02USセント/kWh、洋上風力については 8.47 セント/kWh。2023年に商業運転を開始する場合の適用FITは、陸上風力については6.81USセント/kWh、洋上風力については 8.21セント/kWhが適用されると現時点では商工省によって提案されている。

ONE-VALUEとしても、風力発電の開発には多くの時間を要するため、FIT制度の延長は妥当な判断と考えている。これまでのベトナムの風力発電への投資においては、FIT2のスケジュールに間に合うかが重要な点となってきた。FIT期限の延長が正式に承認されれば、今後の投資タイミングも見通せる状況になるだろう。

ONE-VALUE INC.
経営コンサルティング事業部
再生可能エネルギーチーム

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