2021年10月06日 作成
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日本のバイオマス発電を支えるベトナム産木質ペレット(前編):2019年、ベトナムは日本の木質ペレット最大の輸入相手国に
日本のバイオマス発電は開発が進むも、燃料の安定調達が大きなリスク要因
日本では2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)が始められた。資源エネルギー庁によれば、2019年3月時点のバイオマス発電設備の導入量は400万kWに及んでおり、2030年にかけての導入量は602~728万kWに引き上げられる見通しである。政府が掲げる2030年度の電源構成の計画によると、バイオマス発電は全体構成比の3.7~4.6%程度まで引き上げられることが定められており、これは太陽光発電(7%)よりも低いものの、風力発電(1.7%)を上回る数値目標である。バイオマス発電は、環境にも優しく、木材加工工場等で生じる廃材や木くずなどの木材を有効活用できる安定的なエネルギー源として期待されている。
国内のバイオマス発電で主な燃料となるのが、木くずを圧縮して固めた木質ペレットやパームやしの実の殻(PKS)であるが、この燃料が不足しているという問題が現在浮彫になっている。2018年3月時点で政府がFIT制度を認定しているバイオマス発電の容量は約740万kWとされているが、そのうち、稼働済みのものは2割程度の130万kWに留まっている。
日本の木質ペレット輸入が近年になり急増
PKSは主産物であるパーム油の生産過程で熱帯雨林を伐採するため、環境破壊につながるという意見もあるが、既にパーム油の生産量は頭打ちであり、副産物であるPKSの供給量が今後増えるとは考えにくい。そうした動きのなかで注目が集まるのが木質ペレットである。
しかし、日本国内の木質ペレットの生産量、生産工場が共に増加が続いているものの、国内のバイオマス発電所の稼働に十分な木質ペレットを供給ができておらず、2014年以降は木質ペレットの輸入量が急増している。2018年、日本の木質ペレット輸入量は国内生産量の約8倍に当たる約100万トン超を記録した。
日本のバイオマス発電を支えるベトナム木質ペレット
この日本の木質ペレット輸入を支えているのはベトナムからの輸入である。従来、日本の木質ペレット輸入の相手国はカナダやオーストラリア、中国、タイやマレーシアなどの東南アジア諸国であったが、2014年以降は特にベトナムからの輸入が急増している。財務省の貿易統計によれば、2019年における日本のベトナムからの木質ペレットの輸入量は886,984トンに及び、長年日本の木質ペレットの輸入相手国の首位であったカナダからの輸入量を上回る結果となった。2018年の輸入量である373,524トンから約2.37倍にまで増加した。国別シェアを見てみると、ベトナムからの輸入は全体比で56.4%を占めており、次いでカナダからの輸入量は37.5%に留まっている。
近年のベトナムからの輸入量の増加は顕著であり、2015年時点での輸入量は27,440トンに過ぎなかったが、2019年にはその約32.3倍に当たる886,000トン超にまで増加した。今後もベトナムからの輸入量は増加が続いてくものとみられる。
次回の記事では、他国と比較したベトナム木質ペレットの優位性を整理するとともに、ベトナムの視点から立って、世界への木質ペレット輸出、日本向け木質ペレット輸出について分析を進めていきたい。また、ベトナムの木質ペレット、バイオマス発電に関するビジネスチャンスについても述べていきたい。
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