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ベトナムITエンジニアの人材市場

1.国内のIT人材不足の現状

経済産業省は2019年に行った「IT人材需給に関する調査」の中で、2030年までに国内で約45万人のIT人材が不足するという予測を発表した。

日本国内のITエンジニアが人材不足であると言われている原因は主に2つの原因が考えられる。1つ目はIT業界の成長スピードが非常に早いことに対して人材供給が追い付いていないこと。2つ目はIT技術は日進月歩で日々新しく更新されており、それにキャッチアップできるだけの技術とマインドを持った人材が必要であること。既存のノウハウだけではすぐに最新の技術に追いつけなくなってしまうという点が、優秀なIT人材獲得の際のネックである。技術のアップデートという点でははやはり知識の吸収率が高い若い人材が不可欠である。

2040年には日本人口は1億人を下回るという統計データによる予測も発表されている中で、国内で若いIT人材を探すよりも、国外の優秀な若い外国人エンジニア人材を採用すべきだという方針を取る企業が増えている。そのような中で特に経済発展が著しいベトナムのITエンジニア人材について今回は取り上げていきたい。

2.ベトナム人ITエンジニアの属性(年齢・性別)

ベトナム人ITエンジニアの総数は現在40万人。そのうちの80%近くは20歳から34歳の所謂ミレニアル世代である。20代だけに絞っても全体での構成比率は50%以上となっており、これらの若い人材がベトナムITエンジニアの大部分を占めていることがわかる。また性別のデータでは男性が9割以上を占めており、まだまだ女性が少ない業界である。しかし年々女性の割合は増加しており、今後が女性ITエンジニアも今以上に増えてくることが予想される。

3.ベトナムITエンジニアの経験年数

ベトナムのIT産業はここ数年のうちに著しい成長を遂げた業界である。そのためベテランよりはジュニアレベルのエンジニアの数が多い。しかし彼らは新しい技術、プログラミング言語に対して非常に敏感であり、常に自分の技術のアップデートを行うことに対して余念がない。また彼らの多くは自分の技術をより向上させるためにより技術の進んだ先進国で技術を身に付けたいと希望しており、海外で働くことに積極的である点が特徴として挙げられる。

4.ベトナム人ITエンジニアが企業・職業に期待するもの

人材市場の中で自社のニーズに合った人材を見つけるには、市場にいる人材の希望、特徴、嗜好を把握し、それに適合したオファーを行うことが必要である。ベトナム人ITエンジニアが現在の職業についた理由および職業への考え方を分析することで、彼らを採用する際のポイントが見えてくる。

ベトナム人ITエンジニアが現在の職業を選んだ理由として最も多く上がったのが、IT技術そのものへの興味である。彼らは技術の研究、情報の更新に対して非常に積極的であり、変化の激しいIT業界にも難なく対応することができる。また職業選択のメリットとして多くあがっているのは業界の将来性への期待、および待遇である。日本と比べて賃金格差があるベトナムでもITエンジニアの給料は平均給与の3倍程度にもなり、日本人と変わらない給料を得ている人材も多くいる。企業は外国人であっても彼らの技術、ポテンシャルに適性な評価を与え、その評価の理由をきちんと示すことが優秀な人材獲得のポイントとなると考えられる。

現在のIT人材に求められるスキルは単にプログラミング技術だけでなく、知識の吸収率、新しい技術への適応力がより大切になってくる。新型コロナウイルスの影響が人材需要に大きな影響を与えたとはいえ、ITの分野では影響は少なく求人倍率は相変わらず高いままである。今のうちから国外のITエンジニア人材の市場にも目を向け、採用を進めていくことが今後の企業発展のために重要である。

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