2021年10月07日 作成
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特定技能の人材はどのように受け入れるのか
2019年4月から始まった「特定技能」制度であるが、もうすぐ制度開始から1年経とうとする今、外国人材の活用はどの程度進んでいるのだろうか。また、特定技能の人材はどのようにして受け入れることができるのか。今回は特定技能人材の日本国内における現状と、具体的な活用方法についてお伝えする。
1 特定技能制度の導入とその背景
少子高齢化により国内の企業において深刻な人手不足が進んでおり、国内の人材だけでは需要が不十分である中、一定の専門性と技能を身に付けた即戦力となる外国人人材の活用を進めるため、2019年4月に「特定技能」という新しい在留資格が創設された。特に深刻な人手不足を抱えている14の産業分野に対して人材の受入れを行い、5年後の2024年までの合計で34万5150人の人材を受け入れる予定である。
2 特定技能の種類について
特定の分野における相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格である特定技能1号と、熟練した技能を要する業務に従事する特定技能2号の2つの資格がある。
2つの資格では在留期間、必要な技能水準、家族の帯同の可否、受け入れ期間または登録支援機関による支援の対象となるか否かが異なってくる。
現在、特定技能2号が受け入れ可能なのは建設、造船・船用工業に限られているが、今後受け入れ可能な分野が増えることが予想される。
従来の技能実習生制度は国内の人材不足を補う目的ではなく、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することが目的であった。そのため、受け入れられるのは業務の未経験者が多く、転職などの行動にも制限が多かった。しかし今回の特定技能は国内への人材の供給が目的であるため、即戦力となるための能力を身に付けた人材に付される在留資格である。そのため分野において専門知識、技能が必要とされる業務ですぐに活用ができる人材である。
3 「特定技能」外国人の現状
令和元年12月末現在、日本に在留している特定技能外国人は1,621人となっている。その中で最も多い国籍はベトナム人で901人で半数以上を占めている。また現在最も特定技能人材の活用が進んでいるのは飲食料品製造の業界、次いで農業となっている。これらの業界は技能実習2号の対象職種でもあり、技能実習生からの移行が多いことも原因の1つであると考えられる。
4 特定技能試験について
技能実習生2号から移行する場合を除いて、「特定技能」の在留資格を得るには日本語試験および各業界で定められた技能評価試験に合格する必要がある。試験については各業界の業界団体や協会が各自で実施しており、国内試験・国外試験ともに昨年から始まっている。しかし業界によっては試験が行われていない業界や回数が少ないものがある。また介護や外食業などは試験のためのテキストや過去問題が用意されているが、まだ受験者のための資料が充分でない業界も多い。
5 ベトナム人の特定技能人材について
特定技能に移行するのは技能実習生、留学生がほとんど。技能実習生の数はベトナムが国籍別でトップ。また留学生の数も中国に次いで2番目の多さである。このことからベトナムは特定技能の人数が増える潜在性を最も持った国であると言える。
またベトナムは日本企業が多く進出していることも重なり、非常に日本に親近感を持っている国の一つ。政府間の交流も多く行われており、今後二国間の協力関係がベトナム人人材の国内での活用を促進するだろう。
6 特定技能資格取得までの手続き
日本政府は特定技能外国人の送り出し、受け入れについてベトナム、フィリピン、カンボジア、ミャンマー、インドネシア、ネパール、モンゴル、スリランカ、バングラディシュ、ウズベキスタン、タイ、パキスタンの合わせて12カ国と協力覚書(MOC)を結んでおり、実際の受け入れに関するフロー、手続きに関しては日本と対象国との二国間協議によって決定される。
ベトナムについては、①在留資格を新たに取得しベトナムから新規で日本へ入国する場合と、②すでに日本にいるベトナム人が在留資格を変更する場合の2つの場合がある。
①の場合、まず技能実習を2号まで修了しているか、特定技能評価試験に合格する必要がある。さらに日本語能力等の条件(日本語能力試験4級以上)をクリアした者が、「特定技能」の対象となる。その際には、外国人が個人で受入れ企業を見つけて労働契約を結ぶのではなく、ベトナム政府が認定した送り出し機関を通して、労働契約を結ぶ必要がある。これはベトナム労働法の中に「労働者提供契約書は労働・傷病兵・社会問題省に登録する必要がある」という規定があり、MOCにもこの内容を守るようにとの記載があるためである。
その後、無事に雇用契約が結ばれた後に、内定者本人がベトナムの労働・傷病兵・社会問題省海外労働局にて「推薦者交付申請」を行い、推薦者表に名前を記載してもらう必要がある。これはMOCにて日本はベトナム政府が承認した推薦者表に名前がある者のみを受け入れると記載されているためだ。推薦表に名前が記載されたら、受け入れ機関が入国管理局にて在留資格認定証明書交付申請を行う。証明書(COE)が発行されたら、ベトナムにいる内定者に対して郵送し、内定者は在ベトナム日本大使館にて査証申請を行う。
査証が発給されれば漸く日本で入国することができる。その後は定められた入国後のサポートやオリエンテーション等を受け入れ企業、または委託を受けた登録支援機関が行う必要がある。
②の場合は、すでに日本にいるベトナム人は送り出し機関を通す必要はなく、個人で受入れ企業と雇用契約を結ぶことができる。その後は①の場合とは異なり、在日ベトナム大使館にて推薦者交付申請を行い、推薦表に名前を記載してもらう。その後、内定者本人が入国管理局に対して在留資格変更許可申請を行い、「特定技能」の在留資格へと切り替える流れになる。
7 特定技能人材に対する支援について
特定技能人材に対しては「支援計画表」を作成し、入国前、入国後にわたってオリエンテーション、送迎、公的手続きの補助、日本語学習の機会の提供等の支援を行う必要がある。もし受け入れ企業が支援を行うための基準を満たしていない、または外部へ委託を希望する場合は、登録支援機関がその支援業務を受託し代行することができる。
ONE-VALUEは登録支援機関に登録されており、特にベトナム人人材に対して豊富な人材管理の経験、ネイティブスピーカーによる支援等のシステムが整っている。そのため受け入れ企業はスムーズに安心して特定技能人材を受け入れることが可能である。
上で見たように、従来の技能実習制度に比べて特定技能はその制度が整備された背景から見ても、また制度の中身からみても経営者の人材需要により応えることができる人材であると言うことができる。
【ONE-VALUE株式会社の紹介】
ONE-VALUE株式会社はベトナムに特化した経営コンサルティング、人材紹介・育成の会社です。ベトナムとのネットワークやベトナム市場への深い知見を強みとしており、特にエネルギー、スマートシティ、ハイテク農業、教育・人材は当社が注力している分野です。ベトナムでのビジネスにご関心のある方は是非お気軽にご連絡ください。
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