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物流業界の人手不足を救う外国人人材

1.新型コロナウイルスの物流業界への影響

新型コロナウイルスの感染拡大が報道されてから、国内の各地で物品の買い占めを含めた日用品等の爆発的な需要の増加が起こった。現在ではある程度需要は落ち着いているものの、生活必需品や食料品などの需要は引き続き高いまま推移している。これにより物流の需要も大きく高まっているが、もともと慢性的に人手不足の状況があったところへコロナの影響が重なってきたため、より労働量の負担が大きくなってしまっている。

日本ロジスティクスシステム協会が会員企業に対して行った調査によると、約45%の企業が新型コロナの影響で物量が増加したと回答をしており、物流センターの混乱や現行のドライバーたちの疲弊した状況が連日ニュースでも取り上げられる状態である。

2.運送業界の人手不足の深刻さ

日本全体の物流事業全体の約6割の市場規模を占めるトラック運送事業、その金額は15兆近くにも上る(2018年、国都交通省)。トラック運送事業は典型的な労働集約型産業であり、人手の獲得、維持が事業そのものの維持と発展に直接つながってくる。帝国データバンクが2013年から行っている「人手不足倒産」の企業数の調査では、全ての業界において2019年の倒産件数が185件と過去最高になっており、その中でも2013年からの累計件数では「道路貨物運送」業が74件と最も多くなっている。トラックドライバーを確保できないことから新規の受注が難しくなっており、それによる経営状況の悪化から倒産に至るケールが増加している。

3.ドライバーの有効求人倍率の増加

以下の表に表れている通り、ドライバーの有効求人倍率は年々増加しており、2019年時点では全産業が1.41倍であるのに対して、1.64ポイント高い3.05倍となっている。この裏側には労働時間が他産業に比べて長いことが要因となっている。

また、近年では中高年層の労働力への依存率が高くなっており、産業全体で今後の労働職不足がさらに大きくなることが予想されている。しかし日本人の人口は減少の一歩を辿っており、新たに日本人の若者の獲得を進めていくことは困難な状況だ。

4.輸送業界における事業者の規模

平成2年の貨物自動車運送事業法が施行されて以降、運事事業の規制緩和によって新規参入事業者が急増した。その影響で現在の事業者の約8割が従業員規模が30人以下の小規模な事業者である(中小企業基本法では「従業員300人以下」の企業を中小企業と規定しているが、この規定に従うと99%以上が中小企業ということになる)。これらの事業者にとって人手が1名でも足りないということは事業全体に大きな悪影響を及ぼす。もともと労働時間が長いドライバーに人手不足を補うためのさらなる負担がかかることになり、結果的に労働環境の悪化、さらなる人材不足を引き起こすという悪循環に陥ってしまう。

5.人手不足を救うのは外国人人材

国内での人材獲得がますます厳しくなる中で、外国人人材の活用が人手不足の解決のためには不可欠である。もともと運送業界は他業界に比べて外国人人材の活用が進んでいないという現状があった。それには運転免許やコミュニケーションなどいくつかのハードルがあったためだが、現在ではそれらの課題を克服して外国人人材の活用に乗り出す運送事業者が増えている。ドライバーになることを希望する人材の多くは古くから運転に慣れ親しんでおり、日本語でのコミュニケーションも円滑に行うことのできる者であり、現場にとって大きな戦力となっている。弊社ではこれまで運送業界での外国人人材活用を多くの事業者に対してサポートしてきており、これからの運送業界の新たなトレンドを作る試みを進めている。

今後、日本の人口が減っていく一方で日本で暮らす外国人が増えていく中で、彼らを如何に労働力として取り込むことができるかによって産業全体の未来が決まると言っても過言ではない。

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