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ベトナムの屋根置き型太陽光発電:2021年以降のFIT価格見通しと案件開発のステップ(前編)

ベトナムにおける屋根置き型太陽光発電

 以前より、当社のレポートではベトナムにおける再生可能エネルギー、特に太陽光発電について分析を続けてきた。本記事では前編と後編に分けてベトナムの屋根置き型の太陽光発電に焦点を当てて深堀していきたい。ベトナム電力総公社(EVN)や商工省の公開情報や法規定に基づいて、屋根置き型への投資の可能性について見解を述べていく。

2021年以降のFIT価格の見通し

屋根置き型の太陽光発電のFIT価格については、今年2020年4月6日付の首相決定(No.13/2020/QD-TTg)により、8.38セント/kWhと新たなFIT価格が決定された。同決定では2019年11月23日より前に承認を受け、2019年7月1日から2020年12月31日に商業運転を開始するものと期限が定められている。ベトナム電力総公社(EVN)の公開情報によると、屋根置き型のFIT価格である8.38セント/kWhは2021年以降も数年の間、維持される見通しだ。

2020年1月から4月にかけて、案件数で5,254件の屋根置き型太陽光発電所がEVNに売電を行っており、合計の設備容量は178.66MW、総発電量は137GWhに及んでいる。これまでの過去の累計では、27,631件の屋根置き型太陽光発電案件が開発され、総設備容量は562.8MWであるという。

新型コロナウイルスの影響にも強い再生可能エネルギー

また、ベトナムだけでなく、世界的に見ても再生可能エネルギー開発には追い風が吹いている。新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的に電力需要が落ち込んでいるものの、太陽光発電や風力発電の発電量は増加している。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2020年は再生可能エネルギーの発電量だけが増加すると予測している。ヨーロッパでは化石燃料による発電量が2020年1~3月期に前年同期比で約200~250億kWh落ち込んだ一方で、風力・水力発電が約200億kWh増加したという。米国や中国でも再生可能エネルギーだけが増加しているという傾向は同じであるようだ。

 IEAは2020年の世界のエネルギー需要が前年比で約6%縮小すると予測しているが、石炭が約8%、石油が9%増加する一方で、再生可能エネルギーだけは1%増えると見通している。運転費用が安く、一度設置すればほとんど人手がかからない再生可能エネルギーはコロナの感染拡大の影響から最も回復力がある電源であるといえる。

次回の後編記事ではベトナムの太陽光発電の具体的な開発ステップについての分析を進めていきたい。

ONE-VALUEについて

ONE-VALUEは常にベトナムの太陽光発電市場の動向をウォッチしており、ベトナムにおける太陽光発電案件の買収や出資の検討を支援しております。今後もベトナムの太陽光発電に関する情報を提供してしきますので、最新動向や新規開発、既存案件の売買についてご関心のある方は是非、弊社までご連絡ください。

また、世界各国と比較したベトナムの太陽発電市場のポテンシャルについてはこちらの記事もご覧ください。

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