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今最も注目すべきベトナム企業:ビメディメックス医薬品

ビメディメックス医薬品[VMD](Vimedimex Medi-pharma Joint Stock Company)はベトナムのハノイ市に本社を有する、医薬品の販売に従事する企業である。もともと同社は薬品、医療で用いられる消耗品、ベビー・マタニティ商品、家庭用医療機器、サプリメント等を海外向けに輸出、または海外の製品を輸入し国内向けに販売する「専門商社」のような事業形態であったが、近年は自社の製薬工場を所有し、独自で医薬品の研究開発を行う「製薬会社」へと業態を変化させている。

また医薬品業界の他に、VIME FULLANDという不動産ブランドも有しており、集合住宅や戸建ての賃貸・販売を行っている。また近年発展が著しい南中部沿岸地方ダナン市では同社によるリゾート開発のプロジェクトも進行中である。

同社の2019年の売上高は26兆5860億VND(約1200億円)にも達しており、ベトナム経済に大きな影響を及ぼしているが、日本ではその名はあまり知られていない。今回のレポートでは、同社の事業内容や、これまでの成長の経緯に焦点を当てていきたいと思う。


もともと同社はベトナム保健省により設立された国営企業であったが、2006年の一部民営化(株式の49%を外部投資家に譲渡)および2010年のホーチミン証券取引所(HOSE)への上場を経て、着実に売上と実績を伸ばしてきた。またその中で医薬品の輸出入、販売だけでなく自社での医薬品の開発、製造さらには不動産にまで事業を拡大し、コングロマリット化への道を歩んでいる。

まだ日本では知名度が低い同社であるが、今後医薬品業界だけでなくベトナム経済全体を語る上で、ビメディメックス医薬品は大きな存在感を持つことになっていくだろう。

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