2025年10月20日 作成
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ONE-VALUE、共催セミナー「日本からのビジネス・投資の波」:中小企業にとっての好機

2025年10月4日、ハノイでハノイ市中小企業協会(HANOISME)とONE-VALUEは「日本からのビジネス・投資の波―中小企業にとっての好機」をテーマにセミナーを開催した。
会場とオンラインを合わせて100社以上が参加し、日本との連携に関心を持つ経済専門家、行政担当者、投資家も集まった。

基調講演では、ONE-VALUEのフィ・ホアCEOが日本からベトナムへの投資・ビジネス動向を概説し、日越間M&Aの最新トレンドと今後の注目分野を分析。中小企業が市場拡大のチャンスをつかむための実践的な提言を行った。 本稿は、当日の内容と各紙報道を整理し、補足解説を加えたものである。
ベトナム―日本関係の背景と投資市場
ベトナムと日本の関係は50年以上の歴史を経て、現在「包括的戦略的パートナーシップ」の段階にあり、通商・投資・技術協力が新たな段階に入っている。
2025年1~8月の二国間貿易総額は約290億米ドルで、前年同期比約10%増。日本はベトナムにとって主要な投資パートナーであり、累計FDI登録額は794億米ドル、案件数は5,608件に達する。
日本はまた、ベトナムへのODA供与国としても重要な位置を占める。HANOISMEのマク・クオック・アイン副会長は、長年の協力関係がベトナム企業の国際市場での信頼向上に貢献してきたと強調。ベトナムが17のFTAに加盟していることは、より広い市場アクセスを可能にし、日本との協業をさらに後押ししている。
こうした背景から、日本発の投資・ビジネスの波は中小企業にとって「黄金の機会」とされている。

マク氏は開会挨拶で、日本市場に挑む際に企業が意識すべき三つの視点を示した。
- 日本市場での「真の価値」の明確化:製品を販売するだけでなく、生産・流通・アフターサービスまでを含めた価値連鎖を構築すること。適切なサービス提供こそが持続的な利益を生む。
- 実質的かつ長期的な協業機会の発掘と活用:製造、テクノロジー、サービス、共創の各分野に大きな潜在力があると強調。イノベーション、技術、統合に関する第56号・第57号・第66号決議を積極的に活用するよう促した。
- 日本側パートナーとの連携強化:技術移転や面談の場を積極的に設けることが国際展開の鍵になる。ベトナム製品が日本の流通網に入ることで、他市場への拡大もしやすくなると説明した。
これらは短期的成果ではなく、長期的な成長を目指す視点の重要性を示している。
M&Aのトレンドと有望分野
日越M&Aの動向
フィ・ホアCEOは、日越間M&Aの現状について「ベトナムM&Aレポート2024」を引用しながら説明した。
取引件数は447件、開示ベースの総額は約69億米ドルで、その約70%を海外投資家が占める。分野別では、テクノロジー、ヘルスケア、物流、再生可能エネルギー、金融サービスなどが中心である。

同氏は、M&Aは市場参入の時間短縮に有効で、既存の販売チャネル・顧客・パートナーを引き継げる点を指摘。外資100%出資が認められない業種もあるため、出資や合弁は日本企業が合法的に参入する実務的手段になると述べた。
ONE-VALUEは現在、日本側からの買収リクエストを300件超管理しており、協業ニーズは大きい。他方で、日越M&Aにはビジネス文化の違い、意思決定スタイルの差、バリュエーション期待の乖離、ベトナム企業側の情報開示の不足といった課題が横たわる点にも言及した。
日本の投資家が注目する分野:物流、医療、再生可能エネルギー

登壇したフィ・ホアCEOは、物流、医療・ヘルスケア、再生可能エネルギーが日本投資家にとって最も魅力的だとし、ONE-VALUEの分析として次の点を挙げた。
- 物流分野
ベトナムは東南アジア有数のEC成長国で、物流需要が急拡大している。倉庫管理・配送・サプライチェーンの効率化で、日本企業のノウハウが生かせる。
- 医療・ヘルスケア
所得向上と高齢化の進展により、高品質医療サービスの需要が増加。日本企業は病院運営や医療機器分野で合弁や買収を進めている。
- 再生可能エネルギー
太陽光・風力・バイオマスなどの需要が拡大しており、「ネットゼロ」政策の後押しを受けた注目分野である。
このほか、テクノロジー、IT、半導体、不動産、倉庫・物流施設、製造業、医療関連などにも、ONE-VALUEのネットワークを通じ日本企業からの関心が集まっており、日本発投資の裾野の広さを示している。
中小企業向けの提言
日本発の投資・ビジネスの波を生かすため、ONE-VALUEは協業準備でベトナム企業が留意すべき五つの要点を示した。
- 財務の透明性:税務・管理会計の標準化と適切な情報開示で投資家の信頼を獲得する。具体的にはIFRS(国際会計基準)の導入、リスク管理体制の構築、定期監査の実施が望ましい。
- 法的書類の整備:ライセンス、事業登録、土地使用権証書、雇用契約などを事前に揃え、法務リスクを低減する。M&A規制、外資規制、投資手続の理解も不可欠だ。
- 日本の文化・市場嗜好の理解:製品適合性に加え、マーケティング投資、日本語ウェブサイトの整備、日本のビジネス慣行に沿ったコミュニケーションで好印象を醸成する。
- リスク管理体制の構築:環境・労働に関するコンプライアンスは日本投資家の主要関心事。遵守監視の仕組みを整え、安全で環境負荷の低い労働環境を確保する。
- 信頼できるM&Aアドバイザーの選定:ONE-VALUEのような専門機関と連携することで、適切な投資家探索、正確なバリュエーション、効果的な交渉、リスクの最小化が可能となる。

併せて、資本受け入れを目的化せず、資本と技術を梃子に競争力を高め、地域市場へ展開する長期戦略が要ると強調。マク氏は、日本市場への挑戦は国際基準の実装を伴い、米国や韓国など他の厳格市場へのアクセス拡大にもつながると述べた。
ONE-VALUE―ベトナム企業と日本投資家をつなぐ戦略的ハブ
ONE-VALUEは創業以来10年弱にわたり、ベトナムと日本の間で戦略コンサルティング、事業開発、M&A支援を手がけてきた。
これまでに700件以上のプロジェクトと250件超の大型ディールを成功に導き、総務省、国土交通省、経済産業省など日本政府機関からも高い信頼を得ている。
今回のセミナーでは、市場動向の共有に加え、再生可能エネルギー、IT、半導体、製造、医療分野の具体的な案件も紹介された。
同社の専門チームは、企業価値評価から交渉、クロージング後の支援まで一貫して伴走する体制を提示した。
セミナー終了後、多くの企業がONE-VALUEに連絡し、日本企業とのマッチングを同社の専門ネットワークを通じて進めたい意向を示した。
フィ・ホアCEOは、「今後もベトナム企業に寄り添い、最良のパートナーであり続けたい」と語った。

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