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フィホアCEO:「今後5年間は日越M&Aの黄金期となる」 

ONE-VALUE創業者兼CEOのフィホア氏は、今後5年間における日本とベトナムのM&A動向について語った。10年以上にわたりクロスボーダーM&Aを手掛けてきた経験をもとに、両国企業が直面する機会と課題、そしてベトナム企業が備えるべき点について率直な見解を示した。 

Q1. 今後5年間の日越M&Aの展望について、どのように見ていますか。   

フィホアCEO: 

今後5年間は、日本企業によるベトナムでのM&Aが最も活発化する「黄金期」になると確信しています。日本からの投資資金は今後も力強く流入し、2035年前後にピークを迎える可能性があります。 

日本では人口減少と高齢化が進み、経済成長が鈍化する中で円安基調が続いています。このような環境下で、日本企業、特に大企業は成長機会を求めて積極的に海外へ目を向けています。 

その中でベトナムは、地理的な近さ、競争力のあるコスト、文化的な親和性、若く活力ある労働力という点で、最も魅力的な投資先の一つです。さらに、ベトナムでは日本語学習者が増加し、日本企業を歓迎する雰囲気が形成されています。こうした要素が重なり、ベトナムは日本資本の「自然な流入先」となりつつあります。 

ただし、ベトナム企業がこの流れを捉えるためには、発想を転換し、より体系的な準備が必要です。ガバナンスの透明化、財務報告の整備、法令遵守、長期的な経営ビジョンが欠かせません。日本企業が求めるのは、短期的な利益よりも信頼できる持続的なパートナーです。 

Q2. 日本資本が特に注目する業種や分野はどこでしょうか。 

フィホアCEO: 

今後数年間、特に日本からの投資を集める可能性が高いのは、次の5分野だと考えています。 

  1. 製造業およびサプライチェーン関連:日本企業は現在、「チャイナ・プラス・ワン(China+1)」の流れの中で、中国からベトナムへ生産拠点を移転させています。地理的条件、輸出優遇政策、そして新興工業拠点としての地位向上が追い風となっています。 
  1. 物流インフラ、特にコールドチェーン(冷蔵倉庫):ベトナムでは冷蔵・冷凍物流の需要が高まる一方、設備は不足しています。日本は低温物流技術を有しており、この分野での投資拡大が期待されます。 
  1. 医療・ヘルスケア:両国とも高齢化が進む中で、医療や介護サービスの需要増大が見込まれます。日本企業が培った医療技術や経営ノウハウをベトナム市場に導入する動きが強まるでしょう。 
  1. 商業用不動産・工業団地:ベトナムは今後も経済特区や工業団地の拡充を進めており、この分野は中長期的に有望です。 
  1. 教育、IT、消費関連(F&B、リテールなど):若年層の多さと中間層の拡大を背景に、教育やIT、飲食・小売分野への関心が高まっています。 

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