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ベトナムの木材加工業界:ODM受託へのベトナムの意欲

前回に引き続き、今回のレポートでは、ベトナムの林産製造・加工の動向、またODM受託による木材・木製品の生産に関するベトナムの強みを深堀していきたい。

1.ベトナムにおける木製品加工・製造の産業構造

現在、ベトナムで木材・木製品の製造・加工企業の40%以上は海外輸出市場向けの輸出企業である。ベトナムの林野庁によると、2019年2月時点で木材加工企業は合計4500社があるとの統計データを発表した。そのうち、外資系FDI企業(海外直接投資企業)が600社で、国内企業が3900社である。具体的には、4500社のうち、1800社は海外に商品を輸出しており、全体企業社数の40%近くを占める。資金規模基準に基づいた大手企業の社数は約3.5%を占めている。

ベトナムの木製品製造の産業において、多くの外資系FDI企業参入及び輸出向けの企業が多いことにより、木製品の国際基準はベトナムの木材製造産業に広く認知されて、積極的に導入されている。特に、 ベトナムにおける木製品加工・製造産業は近年、機械化及び先端技術の導入も進んでいる。詳細的に、ベトナム林野庁によると、木製品加工・製造産業の企業は、国内生産の商品の付加価値を向上させるため、輸入部品の代替えを促進して、多くの機器、生産工場技術システムに投資すると重視している動向が良く見られているとコメントした。例えば、木材のラミネートシステム、プレーニングシステム、商品分類・梱包機械システム、商品仕上げに関する塗装、接着剤、表面装飾材料、構造製本材料の自動調整システム等はどんどん設置されている。

2.ベトナムにおける木製品・製造の労働者

さらに、ベトナムは若い労働者が多く、安価な労働市場であることは優位性点がある。木材加工産業に従事している労働者は約50万人がいる。そのうち、正式に教育機関で訓練を精通した熟練労働者の割合は55-60%、未熟練労働者の割合が40-45%を占めている。ベトナムの木製品加工・製造業の労働力は安価だけではなく、技能も優れていると評価されている。

ベトナムでは海外輸出向けの製造生産が増加するとともに木材製品、ベトナム人労働者は熟練労働者の率の増加とともに生産技術を徐々に向上させている。同時に、政府からの人材育成を支援する活動も多く、この分野の人材育成の基準を設定する動きがますます充実している。これは、ベトナムにおけるODM木材および木製品の開発の可能性を確保するための前提条件である。この傾向を見越して、現在、イケアやニトリなどの主要な木製品の販売業者もベトナムに工場を設立している。

ベトナムにおける木製品・製造の労働者

その他、ITアプリケーションはベトナム市場の設計技術を向上させており、すべての産業で開発されている。ベトナムが東南アジアでITアプリケーションのスピードが速いIT国であり、IT人材が比較的に豊富だとみられる。日本最大のオフショア市場である東南アジアのオフショア事業のリーダー国である。特に、日本の最大のオフショア市場である。そのため、木材加工産業を含む国内製造産業は、デザインと生産、特にデザインの分野でITを適用するステップをしている。さらに、EコマースサイトからのODM注文を受け入れる形式もある。特にベトナムは、今後ITをベトナムの主要経済セクターと考えており、ベトナムの林産物加工分野における設計・加工の増加傾向を確実にするための基盤となる。

3.ベトナムのFSC導入および経済協定締結

前回のレポートで述べたように、ベトナムは東南アジアでFSC認証の登録数の増加という点で主要国である。これは、EU、米国、日本などの主要市場向けの木製品の重要な基準である。ベトナムでの様々な規格の普及は、主要市場がODM注文を受けるための前提条件である。そして、投入する材料のFSC認証に加えて、木製品や木製家具にもISO規格等を適用している。2017年末までに、国内で、730社以上は加工・流通過程の認証(CoC / FSC)を持ち、東南アジアで1位になり、そのうち49社が 合計226,500ヘクタールの面積で持続可能な森林管理(FSC / FM)の認定を受けた。ベトナム木材・木製品協会(Hanwa)によると、木材加工産業の原材料の需要によって、合法的な生産用木材の供給源を満たすために植林を刺激したということである。森林再生プログラムにより、森林被覆率は2011年の39.7%から2017年には41.45%に増加した。この数値は、2005年の36%から2017年には52%に増加する国産木材の利用率に相当し2020年までに55%に達すると予想されている。 したがって、木材輸入の割合は、64%から48%および45%に減少した。さらに、投入する材料の出所の認証に加えて、工場の認証システムにも重視されている。米国、EU、日本などの厳しい市場の製品品質基準に確実に追いつくために、ベトナムで FSC認証を適用する木材製造および加工工場はますます増加している。

4.まとめ

ベトナムと日本の二国間自由貿易協定、ベトナムEU経済自由貿易協定などの自由貿易協定の増加のため、ベトナムが価格競争の面で多くの利点を持つのに役立つ。同時に、商品は新たな市場に順調に流入する可能がある。これらの理由により、ベトナム産の商品が価格面で競争上の多くの優位性を持ち、国内市場での付加価値を高めるための生産チェーンを促進させる。2020年には新型コロナウイルスの悪い影響があったのに、ベトナムとEU間のEVFTA協定が正式に承認された。これは、EUなどの主要市場に向ける木製品の輸出を含む輸出市場の促進の原動力である。ベトナムと日本の間でも、両国は多くの二国間および地域の自由貿易協定を結んでいる。そして、日系企業がベトナムと容易に貿易および投資を行うための基盤である両国間の良好な外交関係もある。日系企業の視点から、電子機器、アパレル、消費財のような製造業に加えて、ベトナムの木製品・木製家具の製造部門も魅力的なセクターであると考えられる。

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