ベトナム市場調査・マーケットリサーチ

ベトナム市場調査サービスの概要

市場調査サービスでは、ベトナム市場・業界をお客様(日本企業)に代わって調査・リサーチします。外国であるベトナム市場への参入や事業拡大、M&Aを検討する日本企業にとって、事前に市場調査を行うことは必須と考えています。現状、海外市場に関する情報はインターネットで収集できる情報が少ないです。日本企業にとっては大きな悩みの種になりますが、ベトナム市場は特に情報が少ないため、専門家に依頼することも有効な手段の1つになります。ONE-VALUEのベトナム市場調査では、お客様のご要望に応じてオーダーメイド式で調査項目を設計しています。具体的には以下のような調査項目を調査するケースが多いです。

○市場規模
○市場区分
○ベトナム法規定
○業界の主要プレーヤー
○ベトナム市場での価格帯
○ベトナム消費者のニーズ
○日系企業の求める条件に適する現地サプライヤー
○ベトナム政府の方針
○外資規制
○市場のトレンド
○将来予測

ONE-VALUE株式会社はベトナム市場調査に関するあらゆる項目が調査可能です。

対応可能なベトナムの業界

ベトナム市場調査においてONE-VALUEが対応できる主な業界は以下のとおりですが、あくまで実績ベースでの記載となります。以下に無い業界や分野も基本的に調査可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

○エネルギー(再生可能エネルギーなど環境関連分野を含む)
○農林水産業(畜産を含む)
○食品全般(加工食品を含む)
○ハイテク・通信(デジタル経済・IT・半導体を含む)
○製造
○化学・素材
○物流(倉庫・コールドチェーンを含む)
○不動産・建設
○小売(日用消費財を含む)
○飲食
○アパレル
○ペット用品・ペットフード
○医薬品・ヘルスケア(介護含む)
○娯楽・エンターテイメント
○教育・保育
○金融
○官公庁

ONE-VALUEの強み

ベトナム市場調査・参入可能性調査を行うにあたって、弊社ONE-VALUEの強みは主に以下の通りです。

○ベトナム市場に特化しており、深い知見を有しています
○ベトナム現地に拠点を有しており、現地で稼働する調査員が40名程度在籍します。現場を視察して足で稼ぐ情報収集も得意とします
(例)地方の農家に対面でヒアリングしたり、リサイクルビジネスの調査では廃棄物処理場まで調査員が視察して生情報を取得
○ベトナムの大手企業役員や政府機関高官とのコネクションが多くあります。現地企業(経営層・マネージャークラス)、政府要人、業界有識者に直接ヒアリングします。
○SNSで10万人以上のベトナム人コミュニティを形成しており、一般消費者へのデプスインタビューや大人数を対象とした意識調査も可能
○オーダーメイド型で、最適な調査項目を案件ごとに柔軟に設定可能
○ベトナム市場での輸出拡大を行うため、ベトナム現地のバイヤー(輸入企業、小売企業、飲食店)への販路開拓・営業活動を支援します

ベトナム市場調査の活用事例

このような場面でご活用いただくことが可能です。

①ベトナム市場への新規参入・事業拡大を検討中

○ベトナム市場への新規参入・事業拡大を検討しているが、対象とする市場の規模/今後の有望性がわからない
○ベトナムの外資規制や規定が分からない
○ベトナム消費者のニーズや嗜好が把握できていない
○ベトナム市場での新規事業を検討しているが、対象とする市場の参入メーカーや販売先がわからない
○新製品/サービスの開発を検討しているものの、どのようなものを作れば良いかわからない

②既存事業における投資拡大

○今後のベトナム市場がどの程度成長していくのかわからない
○競合となるような新製品・サービスが普及する可能性について検討している
○ベトナム政府が新しい法律を制定した場合、自社の事業に対する影響はあるのか

③M&AにおけるビジネスDD

※ビジネスDD(デューデリジェンス)は、M&Aの際に、買収対象となる企業の事業性や将来性、シナジー効果などを評価するための調査です。

○ベトナムには日本とは異なる市場性・商習慣があるため、より現地市場に精通した企業によるビジネスDDを任せたい
○ONE-VALUEはベトナムにおけるビジネスDDも提供しております。詳しくは下記のURLよりご覧ください

各種デューデリジェンス実施
デューデリジェンスのサービス内容M&Aの進行に不可欠な財務・税務、法務、ビジネス、人事およびテクニカル等の各種デューデリジェンス(DD)を実施します。原則はONE-VALUEに所属する各分野の専門家によるデューデリジェンス...

ONE-VALUEは、ベトナム事業戦略の立案と実行(M&A/合弁等)の両輪で支援できるユニークな支援モデルを提供しています。

M&Aにおいて、案件ありきで市場調査を実施しない場合は以下のリスクが考えられます。

市場調査を実施した場合の案件の違い:
1 検討する案件の数: 市場調査を行うことで、アドバイザーが案件を発掘・作る(もともと売却意向が無かった優良案件オーナーに対して売却の問いかけをする)ことができ、検討できる案件の数が増える。
2 案件の質: 出された案件ありきでは、売り手がどうしても売りたい案件が良くないことが多い傾向。良い案件に対して主体的にアプローチして探索するのがアドバイザー型である。市場全体を理解し、良い案件の見極めができる。
3 案件検討のスピード: 案件ありきの場合、売り主は足元では高く売りたい意向が多く、買う側(日本企業)に早い意思決定を求められて、スピードが合わせられないことがある。ONE-VALUEは自社で開拓した案件であるため、比較的合わせやすい。
4 案件競合: 調査をしないで案件ありきの場合、その案件に多くのバイヤーが存在していて、競合の入札者がいたり、市場に出回った案件として、売れ残り案件である恐れもある。調査をして探索することで、お客さましか知らない案件で、独占交渉しやすい。

ONE-VALUEの主な市場調査の事例

①大手エネルギー会社:ベトナムにおける廃棄物リサイクル業界に関する市場調査

調査目標:特に燃料となるベトナムの各廃棄物について、ベトナムでの各種市場動向を理解し、ベトナム市場への進出の可能性を判断する。また、現地パートナーを探索する。

調査事項:ベトナムの廃棄物排出に関する動向、ベトナム国内における廃棄物の発生・運搬・処理・再利用に関する流通構造、関連規制

ONE-VALUEが実施した支援:ONE-VALUEのベトナム調査員の体制、ネットワークを活かし、廃棄物リサイクルのサプライチェーンに関わる各主要な企業(運送企業、廃タイヤ交換事業者、リサイクル会社、廃棄物リサイクル会社等の合計数十社)に対して現地でのヒアリング調査を行い、調査と同時並行で現地パートナーの探索もおこなった。

②大手製菓会社:ベトナムにおけるコールドチェーン・アイスクリーム業界に関する市場調査・競合調査

調査目標:特にアイスクリーム製品について、ベトナムでの各種市場動向を理解し、ベトナム市場への進出方法を判断する。

調査事項:ベトナムのコールドチェーン市場動向、アイス製品の流通チャネル動向、競合環境、関連規制

ONE-VALUEが実施した支援
○ベトナム現地でアイスクリーム事業へ参入するための市場調査(調査項目:コールドチェーン / 流通チャネル / 競合環境 / 輸出入関連規制)を実施
○デスクトップ調査による市場動向、競合調査に加え、ONE-VALUEがもつネットワークを活用し、現地アイスクリーム企業へのヒアリング調査を実施

③総務省:ベトナムにおける林業ICTソリューション導入に関する調査

調査目標:ベトナムを対象に日本の林業ICTソリューションの普及可能性・有効性を検討するため、ベトナム林業の産業構造と課題、それらに対するICTソリューションを用いた解決について調査行う。

調査事項:DX取組状況・ベトナム林業の市場規模・動向・生産物、法規定動向、林業ICTソリューション市場、ヒアリング調査等から抽出されるベトナム林業の課題・考えられるICTソリューション、ICTソリューションの分析と評価、現地実証の検討

ONE-VALUEが実施した支援
○ONE-VALUEがもつネットワークを活用し、ベトナム林業公社、ベトナム農業農産開発省森林総局、ゲアン省人民委員会、ベトナム国立林業大学、ベトナム木材・林産物協会へのヒアリング調査を実施した
○ベトナムの苗木製造・育林に影響する環境データを取得・分析し、日本のICTソリューションをベトナム林業に導入する評価、分析を行った

その他事例

ベトナム市場調査・戦略立案
○大手日用消費財メーカー向け:紙おむつの市場調査
○大手製紙会社向け:女性用ナプキンの市場調査
○大手下着会社向け:下着・肌着の市場調査
○大手日用消費財商社向け:カミソリの市場調査
○大手日用消費財・化学メーカー:オーラルケア製品の市場調査
○大手銀行向け:最新消費トレンド調査及び新事業の検討支援
○大手繊維企業向け:縫製工場における糸くず排出の調査
○日系大手電力会社向け:ベトナムにおけるバイオマス燃料の調達に関する基礎調査・発電事業展開の戦略立案
○日系大手物流会社向け:ベトナムのコールドチェーン物流(冷凍・冷蔵倉庫・物流)に関する業界動向調査
○日系大手製紙会社向け:原料安定確保のための調査を実施及び新規事業の立案
○日系大手通信会社向け:ベトナムのスマートシティ市場参入の戦略立案、戦略的なパートナー探索・提携の支援
○日系大手エネルギー会社向け:ベトナムにおける複数業界(小売・農業等)へのM&Aによる参入のための市場調査
○食肉加工品業界団体向け:ベトナムの食肉加工業界(ハム・ソーセージ類)に関する市場動向・輸入手続きの調査
○日系大手総合建設企業向け:ベトナム電気系技術者の育成に関する現状・課題の調査
○ベトナム大手林業会社向け、日本の市場開拓に関するコンサルティング業務及び、日本での事業活動支援(日本市場向けの木材系の製品販売、林業土地の活用方法薬草の栽培・輸出等)大手機械設備メーカー向けのベトナム工業団地における資源回収仕組み等に関する調査の実施
○日系大手製薬会社向け、ベトナム市場におけるOTC医薬品、育児用粉ミルクの販売に関する戦略策定の支援

ベトナムでの売上予測分析
○日本不動産・ショッピングモール開発の企業向け、ベトナムにおける消費者動向の調査の実施及び開発予定のショッピングモールの売上予測モデルを策定

ベトナム企業のM&A・出資
○日本大手電力企業向けのベトナム再生エネルギー案件(バイオマス発電所)の買収・出資の支援
○大手エネルギー会社向け、ベトナムの風力発電、太陽光発電案件へ出資・買収アドバイザリー業務の実施
○大手電機メーカーの子会社のアドバイザーとして、オンライン会議サービスのベトナムの提携先・合弁先の探索及び提携関係の締結を支援
○日本大手紙業界企業のベトナム企業の買収アドバイザー業務、ベトナムにおける新規事業可能性調査の実施(段ボール・紙製造事業、E-Learning事業, IT開発事業、廃棄物リサイクル事業)• 大手ベトナムIT企業の日本IT企業買収支援(買収ターゲット探索等)

ベトナムでのマーケティング・販路開拓の支援
○日系大手食品会社向け:ベトナム市場におけるサプリメントのマルチマーケティングの実施支援
○日系エネルギー会社向け:ベトナム市場における混合飼料の販路開拓に関する営業代行の実施

ベトナム市場調査の調査方法

ONE-VALUEの市場調査では、主にデスクトップ調査、ヒアリング調査、マーケティング調査を通じて調査します。

デスクトップ調査

ベトナム語・英語にてベトナム人アナリスト(リサーチャー)、日本人アナリストを中心に政府統計、業界団体の統計情報、民間企業の公表情報、現地報道記事を中心にデスクトップ調査を行います。

ベトナムでは統計が整備されていなかったり、信頼できる情報リソースが少なかったりしますが、弊社は信頼の置ける情報リソースのみを活用します。

これまで多数のベトナム市場調査を実施してきて得られたベトナム市場・ベトナム企業に関する大量のデータベースも活用します。

ヒアリング調査

ベトナム中央政府・地方政府の高官、ベトナム企業の経営・マネジメント層、業界団体の有識者・専門家にヒアリング調査を行います。その他、既にONE-VALUEが保有するパイプ・ネットワークを活用して、情報収集を行います。

マーケティング調査・マーケティングリサーチ

ベトナム国民の消費者のニーズを主に調査します。マーケティングリサーチは目的に応じて以下のような手法を効果的に活用します。

定量調査

定量調査とは一般的に数値で表されるデータを集計・分析する調査です。具体的には定量アンケート調査を通じて、消費者や顧客に直接意見を聞いてデータを取得します。オンライン

例えば、ベトナム国民200人に対して、健康食品に関するマーケティングリサーチを行う場合、ベトナム国民が健康食品に求める機能はなにか、普段はどれくらいの頻度で健康食品を使用しているのか、使用履歴はどれくらいか、年間の支出額はどのくらいかなど、設問項目を設けてベトナム国民の健康食品に対する嗜好やニーズの傾向を分析します。

インタビュー調査

インタビュー調査では主に定性情報を取得します。定性情報とは数字では表現が難しいベトナム個人の発言や行動といったデータを得るための調査です。インタビューを行う項目は事前にお客様の意向も踏まえて設定し、最終的な同意の上、実施します。インタビュー調査の方法は主に以下の2つの方法があります。対面で行うことが難しい場合やオンライン上や電話を通じて行います。

デプスインタビュー

ベトナム消費者とインタビュアーが1対1で行う形式。

デプスインタビューではベトナム国民の心理状態やライフスタイルを深く調査することができ、本人が自覚していないような心理や考え、価値観を聞くことができます。よりベトナム消費者のニーズの本質を理解することができます。これらはデプスインタビューの大きなメリットです。一方で、デプスインタビューは時間(コスト)がかかる、合意形成が難しいといったデメリットも存在します。

グループインタビュー(グループディスカッション)

複数人のベトナム消費者に対して司会者(モデレーター)が座談会形式で行う形式。

グループインタビューではコストパフォーマンスが優れ、グループダイナミックスが期待できるというメリットがあります。グループダイナミックスとは、ベトナム消費者が集団としてインタビューに応じることで、集団から影響を受けたり、集団に影響を与えたりするという原理のことです。ベトナム消費者がお互いに刺激を受け合い、事前に予測していなかったアイデアが発掘され、様々な意見を得ることができます。但し、グループインタビューのデメリットとしては、ベトナム消費者の個人の深堀りには不向きであり、時に牽制が発生することがあります。大勢の前で話すことがデメリットとなり、当たり障りのない意見しか出ないという事態です。

ベトナム市場調査の流れ

ベトナム市場調査について日系企業向けに解説いたします。
  • お問い合わせ
    • 調査調査を行いたい項目についてお問い合わせ下さい。その際は、調査で明らかにしたい内容や予算、スケジュール・期間をお伝え頂けると具体的な回答が可能です。
  • 打ち合わせ・調査設計
    • ベトナム事業展開に関するお客様の課題や背景、目的についてヒアリングさせて頂きます。
    • ベトナム進出コンサルタントと調査の実施にあたってより具体的に内容の設計、実施費用、スケジュールに関してすり合わせを実施致します。
  • 調査提案書・見積書の作成
    • お打ち合わせの内容やお問い合わせの内容に基づいて、調査実施の提案書とお見積りを作成します。お客様に合意頂きましたら、調査開始となります。
  • 調査状況の確認
    • 調査実施中では、定例報告会・中間報告会を設定することにより、調査の進捗状況や途中成果物をご報告します
    • 定期的な報告会を実施することにより、調査の方向性や品質に問題がないか確認することができ、より質の高い調査を実施することができます。
  • 最終報告・今後のアクションプラン示唆
    • 最終報告会にて調査実施の分析結果を報告書の作成の上、ご納品します。報告会では自由に質問をすることが可能です。
    • 調査結果ではなく、ただの情報収集ではなく、お客様の課題解決につながる戦略立案、具体的なアクションプランまでご支援します。

ONE-VALUEでは市場調査に留まらず、その先の戦略立案もご支援が可能です。戦略立案につきましては下記ページにてご紹介しています。

ベトナム戦略立案・ビジネス創成
ベトナムの市場調査・戦略立案に特化した経営コンサルティング会社であるONE-VALUE株式会社がベトナムに進出・事業拡大・M&A・販売・販路開拓を行いたい日本企業向けにベトナム市場調査・戦略立案サービスを提供します。

また、市場調査のような、戦略立案の要素を含むプロジェクトでは、双方向のコミュニケーションをとることでより良い成果が得やすくなります。強みや商品情報の詳細なインプットなど、調査開始時や途中で双方向のコミュニケーションを多く取ることができると、さらに成果物のクオリティが高くなりやすいです。

費用・料金体系

費用・料金体系の大雑把なイメージは以下のとおりです。
○デスクトップ調査のみの場合:10~200万円程度
○デスクトップ調査+ヒアリング調査の場合:ご相談
○デスクトップ調査+ヒアリング調査+アンケート調査の場合:ご相談

ベトナム市場調査の料金体系については、調査のボリュームや難易度によって都度お見積りをご提供しておりますので、上記価格帯を外れることもございます。まずは一度ご連絡頂ければ幸いです。

10万円以下の調査につきましては、ONE-VALUEのベトナムビジネスレポートというサービスもございます。下記からご確認ください。

実施期間

ベトナム市場調査の実施期間はプロジェクトの規模に応じて、数週間〜数ヶ月と異なってきます。実施スケジュールはお客様のご要望に応じて対応しております。

ONE-VALUE(株)とは

ONE-VALUE株式会社は、ベトナムに特化した経営コンサルティング会社です。市場調査や戦略立案など、幅広い支援を日本企業に提供しています。

ONE-VALUEはベトナムに特化した経営コンサルティング、M&Aアドバイザリー、営業支援を軸に、日本企業のベトナム進出を支援する会社です。これまで、大手企業から中小企業まで1000社以上の支援実績がございます。

ONE-VALUEはベトナム現地にて支援体制を確立しており、専門性と現地ネットワークを活かし、進出前から進出後まで、ワンストップでサービスを提供しております。

進出前の段階では、市場調査・戦略立案・案件創生といった3つの軸で支援をしており、1つのサービスや業界に捉われない、個社ごとのニーズに合わせたご提案が可能です。

進出中・進出後においては、各種手続き・交渉・営業・マーケティング等の実務の支援・代行をベトナム全国で提供しており、現地ビジネスの様々なステータスやニーズに合わせたご支援が可能です。

コラム①:ベトナム市場調査の効果的な依頼のコツ

ベトナム市場調査の効果的な依頼方法についてコラム記事にて解説しております。以下のURLからご覧ください。

ベトナム市場調査の依頼方法【日本企業向け】調査方法・費用・分析ポイント解説 - VietBiz(ベトビズ)
目次 ベトナム市場調査を成功させるための確認ポイントベトナム市場調査の必要性と目的ベトナム市場調査の必要性①:ベトナム市場は環境変化が激しいベトナム市場調査の必要性②:ベトナム消費者の嗜好は日本と異なるベトナム市場調査の

コラム②:なぜベトナムなのか

急速な経済発展に伴い、ベトナム市場は安価な人件費がメリットとなる製造業の生産拠点としてだけでなく、有望な消費市場としても近年注目されています。1億人規模の豊富な人口と急増する中間層に支えられたベトナム市場を有望とみる日本企業は増えています。ベトナム市場には世界的な各国の大企業も多く進出しています。

都市部(ホーチミン市、ハノイ市、ダナン市)には中間層、富裕層が多く、最近ではEC販売・オンライン販売も盛んになっています。南部のホーチミン市は特に経済最大都市となっています。

一方、海外進出の進出先として、ベトナム以外にも東南アジアや中国の市場を有望と考える日本企業は多いのではないでしょうか。

中国、韓国、インド、東南アジア地域(タイ、インドネシア、ラオス、カンボジア、フィリピン)等、ベトナム周辺にも日本企業にとって有望な市場はありますが、ベトナムは今後の成長性が最も高い国とされています。

2020年、新型コロナウイルスが世界的に感染拡大しましたが、ベトナムは東南アジア地域のなかで唯一GDPプラス成長を成し遂げました。アジア開発銀行の予測によれば、ベトナムはアフターコロナとさせる2025年まで東南アジアで最も高い経済成長率を維持すると予測されています。 ベトナムは新型コロナ抑制状況やウクライナ危機を変動要因があるものの、製造業の伸びや国際観光再開、消費の需要増加など、さらなる発展が期待でき、ベトナム政府の公式発表によれば、2022年通年のGDP成長率は6.0~6.5%を達成できる見込みです。

2023年のベトナム経済は、実質GDP成長率が前年の+8.02%から+5.05%へ減速し、政府目標の6.5%にも届きませんでした。世界的な需要低迷や輸出不振の影響を受けたものの、第4四半期には6.7%成長と持ち直しの兆しを見せました。こうした底堅さを背景に2024年にはGDP成長率が+7.09%へ再加速し、経済規模は約4,763億ドルに拡大しています。輸出は2024年に前年比+14.3%増の4,055億ドルに達し、電子機器・スマートフォン、衣料品、農産品が牽引しました。堅調な輸出と外国投資が成長を下支えし、2025年も6~7%台の高成長が期待されています。この力強い回復基調は、外部環境に左右されつつもベトナム経済の潜在力が依然大きいことを示しています。

デジタル経済の台頭とZ世代の消費

国内消費も堅調で、小売売上高は2024年通年で前年比+9%前後の増加を示し、2025年初頭も前年を上回る伸びを維持しています。所得向上と中間所得層の拡大が消費を押し上げており、2026年までに中間所得層が人口の13%から26%へ倍増する見通しです。特にデジタルネイティブなZ世代の台頭が消費トレンドを変えつつあります。2025年までにベトナムで約1,500万人に達するZ世代は、家族の娯楽や日用品の購入にも影響力を持ち、SNSやEコマースを駆使した新しい消費行動の中心となっています。実際、都市部を中心に伝統的市場からスーパーマーケットやコンビニへの移行が進み、オンラインと実店舗を融合したオムニチャネル戦略を採る企業が市場拡大に成功しています。

一方で消費者の志向はより選別志向になりつつあり、PwCの調査によれば64%の人々が食料品、48%が医療・健康に優先的に支出する一方、贅沢品など非必需品を削減すると答えた人も約30%にのぼりました。また環境意識の高まりも無視できません。EYのグローバル調査では、ベトナムを含む回答者の46%が気候変動に極めて強い懸念を示し、25%が既に環境に配慮した製品を選び始めているとされています。デジタル経済の急成長と相まって、これら新世代の消費志向の変化がベトナム市場に革新的なビジネス機会をもたらしています。

産業構造の高付加価値化とサプライチェーン多様化

近年、ベトナムの産業構造は著しい高度化を遂げています。かつて輸出の主力だった縫製品など労働集約型の低付加価値品は、今やスマートフォンをはじめとする高度な電子製品へと置き換わりつつあります。2009年に韓国サムスン電子が北部に携帯電話工場を稼働して以降、電子機器産業を中心に海外企業の生産拠点移管が続き、対米輸出向けの一大製造ハブが形成されました。米中貿易摩擦を契機としたサプライチェーン多様化の流れで、この中国+1市場へのシフトは2018年以降さらに加速しています。実際、日本貿易振興機構(JETRO)の2024年調査でも「米中摩擦による中国・日本からベトナムへの生産移転」が顕著で、新規事業機会の創出要因になっていると報告されています。

現在では輸出の約7割を外資系企業が担い、グローバル企業の生産拠点としての存在感が一段と高まりました。例えば世界最大のEMS企業である台湾フォックスコンは、ベトナム北部に電気自動車(EV)部品工場を新設すべく2億5千万ドルの投資計画を発表し、同社の累計投資額は約30億ドルに達しました。これは米中対立下で中国以外に生産拠点を分散させる戦略の一環であり、EVや半導体といった新分野でもベトナムが重要拠点となりつつあることを示します。

産業高度化に伴いITサービス分野の存在感も増しています。政府はデジタル経済を国家戦略の柱に据え、全国民のデジタル化を推進中です。インターネット普及率は79%に達し、ユーザー数は8,000万人規模(2023年)と世界第12位の規模に上ります。Googleなどの予測によれば、ベトナムのデジタル経済規模は2021年比で2025年までに140%成長する見通しです。ICT人材の豊富さも相まって、生成AI・ITサービスへの投資が急増しています。事実、ベトナムのAIスタートアップ市場への投資額は2023年の1,000万ドルから2024年には8倍の8,000万ドルに拡大し、金融、ヘルスケア、ECなど多様な業種で生成AIを含む先端技術の活用が進んでいます。このように産業構造は従来型の労働集約産業から資本・技術集約型へと転換を遂げ、サプライチェーンの多様化とデジタル技術の導入によって付加価値創出の基盤が強化されています。

ビジネス環境の変化とグリーン投資への注目

高成長を続けるベトナムですが、ビジネス環境も大きく変化しています。政治的には安定した一党制の下、政府は積極的に外資誘致策を講じ、包括的・漸進的TPP(CPTPP)やRCEPへの加盟など経済統合を進めてきました。その結果、2023年9月時点で累計約2,900億ドルものFDI(実行ベース)を呼び込むなど、ASEAN有数の投資受け入れ国となっています。一方で急成長に伴う課題も指摘されています。行政手続きの煩雑さや法制度の不透明さ、インフラ整備の遅れは依然として企業進出上のリスクです。実際、近年の日系企業のアンケートでも「許認可取得のトラブル」や官公庁による非公式な手数料要求、電力不足への懸念等が多く挙げられています。

2024年には共産党指導部の人事刷新期に一時的な政策停滞も見られ、投資環境の先行き不透明感が意識されました。他方で、これら課題に対し政府もデジタル行政サービスの導入や規制改革に着手しており、中長期的には事業環境の改善が期待されます。さらに近年最も注目すべき変化は「グリーン投資」の潮流です。ベトナム政府は2021年に2050年カーボンニュートラル宣言を行い、2022年末には先進国との間で150億ドル規模の気候資金パートナーシップ(JETP)を締結するなど、脱炭素に向けた政策と資金調達を本格化させました。再生可能エネルギー分野では太陽光・風力発電への累計投資が急増し、電力源に占める再生エネ比率を2030年までに30%とする政府目標も掲げられています。国内企業や消費者の意識もグリーン志向にシフトしており、製造業においても環境対応型の生産や省エネ投資が求められるようになりました。

スタートアップ投資でも「グリーンテック」分野への資金流入は拡大基調にあり、過去3年で農業テックやグリーンテック関連への投資が顕著に伸びています。このグリーン投資の潮流は、サステナビリティを重視する高付加価値の外国資本を呼び込む「グリーンカーペット戦略」として位置付けられ、ベトナムが質の高い成長へと舵を切る象徴となっています。持続可能な発展への取り組みは、国際社会からの評価も高めており、今後は環境規制への適応力が新たな競争力の源泉になるでしょう。

日系企業の進出事例

ベトナム市場の成長性と戦略的重要性は、日本企業にも大きな魅力となっています。実際、同国に進出している日系企業は約2,500社に上り、その多くが10年以上にわたり安定した事業運営を続けています。進出業種も製造業からサービス・小売業まで多岐にわたり、市場ニーズに合わせた現地展開で成果を上げています。また小売分野でも大手企業の進出・現地での事業拡大が盛んに行われています。

さらに製造業では、電機各社や部品メーカーが相次いで生産拠点を拡充しています。近年の調査では、ベトナム進出日系企業の64%超が黒字を見込み、事業拡大意欲もASEAN諸国の中で首位となるなど、日系ビジネスの熱気は衰えていません。一方で課題として、人件費上昇や人材確保の難しさ、現地企業との競争激化も挙げられますが、これらに対しては自動化投資や従業員教育、現地パートナーとの協業強化といった対策で乗り越える企業が増えています。総じて、デジタル経済の発展やグリーン投資の需要拡大といった新潮流も追い風に、ベトナム市場に挑む日系企業の動きはますます活発化していると言えるでしょう。